元暴言検事「市川寛弁護士」の経歴
過去に冤罪を作り出してしまったことを著書「検事失格」の中で告白された元暴言検事の市川寛弁護士。
メディアで検察の裏側を次々と暴露し、ワタシたちを驚かせてくれる市川寛弁護士はどういう経歴の持ち主なのでしょうか?
もくじ
元暴言検事「市川寛弁護士」の経歴
主な経歴一覧
1965年(昭和40年) | 神奈川県生まれ |
1985年(昭和60年) | 一浪ののち早稲田大学 法学部受験も不合格、中央大学 法学部 法律学科へ入学 |
1989年(平成元年) | 中央大学卒業 |
1990年(平成2年) | 司法試験合格 |
1993年(平成5年) | 検事任官(新任検事として横浜地検配属後、徳島・大阪・横浜・佐賀・横浜の各地検に在籍) |
2000年(平成12年) | 佐賀地検に勤務(三席検事) |
2005年(平成17年) | 辞職 |
2007年(平成19年) | 弁護士登録(登録番号35119、第二東京弁護士会所属) |
2014年(平成26年) | アパリ法律事務所に所属 |
主な経歴は上記のようになります。
現在は「華鼎(かなえ)国際法律事務所」という刑事事件を取り扱うことが多い法律事務所に所属されているようですね。
国際案件として、外国の方の在留資格やトラブルなどの案件も取り扱っているようです。
受験戦争に敗れたことが強い決意に
一浪の後に早稲田大学法学部を受験するも不合格となり、その時に唯一合格していた中央大学法学部に入学することとなったのですが、これが法律家になる強い決意になったと言います。
高校時代から法律家になりたいという気持ちは漠然と持っていたとのことですが、受験戦争に敗れたことで「自分はこんなもんじゃない」「絶対に司法試験に合格してやる」と決意されたそうです。
ご自身の著書『検事失格』の中ではこの事について「動機が不純だった」「後の検事生活で手痛いしっぺ返しを受け続けることになった原因だったのかもしれない」と記されています。
佐賀市農協事件で冤罪を作り上げてしまう
市川寛さんが主任検事を務めた2001年(平成13年)の佐賀市農協事件が世間を賑わせました。
この事件は佐賀市の農協内のあるグループが、農協組合長を引きずり下ろすために告発状を佐賀地検に届けたことから始まりました。
組合員でもある業者に1億800万円の融資をしたことが背任に当たると反対グループから告発されたものですが、共謀したとされる日時に組合長にアリバイが認められたため、その後組合長の無罪が確定しました。
この取り調べの中で行われた検事(市川さん)による恐喝や恫喝などが、その後問題となりました。
突然やらされることになった主任検事
市川さんはほとんどこの事件のことを知らされていなかったにもかかわらず、上司から「明日ガサ入れだから君が主任(検事)をやれ」と突然言われたそうです。
証拠や資料は最低限のものしか目を通せなかった上に、その後に研修の出張があり捜査にもほとんど関われなかったと言います。
主任検事なのにあり得ない状況です。
上司は「とにかくやれ!」の一点張り
次席検事(地検のトップ2)には「君がいない間に逮捕しておくから」「とにかく自白させろ」と言われるのみ。
研修の出張から戻って取り調べをしようにも被疑者から何を聞いたらいいのか分からない状態だったといいます。
そのため市川さんは「嘘をつく気か!こん畜生!」「検察をなめるな!検察は戦うぞ!」「刑務所にぶち込むぞ!」などと暴言を吐き、強行に自白を迫ったと言います(もっと酷いことも言っていたようです)。
そして出来上がってしまった冤罪
通常は起訴の判断は主任検事が行うものですが、この事件の場合は検事正(地検トップ)と次席検事が初めから起訴と決めていたようです(おかしな話ですが・・・)。
市川さんが不起訴を上司に打診しても「もう諦めろ」と言われたそうです。
その強引な取り調べの結果、組合長が自白した旨が記されている調書が出来上がりました。
組合長は自白するようなことは一言も言っていないので、冤罪が捏造されたことになります。
この事件についてはコチラで詳しく知ることができます
この事件に関しては、こちらのページに無罪事例報告がありましたのでご覧になってみてください(参照ページ:佐賀市農協事件の無罪事例報告)。
また、冤罪加害者の市川さんと冤罪被害者の組合長さんのご家族が本を出版されています。
加害者と被害者の双方の視点から一つの事件を知ることができる貴重な本ですので、一度ご覧になってみてはいかがですか?
■「検事失格」著:市川寛
■「いつか春が 父が逮捕された『佐賀市農協背任事件』」著:副島 健一郎
まとめ
検察は「正義を体現するお役所」だと思っていました。
市川さんも初めは真っ直ぐに法の道を志していたと思います。
しかし、現実ではこのようなコトが起きていたと知ると愕然としてしまいますよね。
きっと市川さん本人が一番驚いたのではないでしょうか?
大阪地検特捜部の証拠捏造事件などを見ると、自白強要や証拠捏造は一部では常態化しているのかもしれませんね。
起訴されてしまえば99.9%有罪となってしまう日本。
佐賀市農協背任事件の場合は偶然が重なってくれたおかげで無罪が確定したと言います。
「もし自分が間違って起訴されてしまったら?」と考えるとゾッとしてしまいます。
しかし、本当に驚いたのは市川さんの勇気です。
確かに自白強要や恫喝・脅迫は許されることではありませんが、その後、検事から足を洗って検察の裏側を暴露する本を出版されたのはとても勇気が必要だったことでしょう。
本当に悪いヤツらは反省もせず、その後も黙ったままです。
そんなヤツらとは違い、自責の念から反省し、本を出版し、声を上げて警鐘を鳴らす市川さんには、今後も公的機関による不正を抑制していってもらいたいですね。
こちらの記事では市川寛弁護士がこれまで見てきたり教わったりした取り調べの内容や、市川さん自身が行ってきた取り調べの内容をご紹介しています。
検察がやって来た強烈な取り調べの内容に興味がある方はぜひご覧ください。